床暖房用のナラのフローリング材の塗装を頼まれました。
オーナーや設計者に決めてもらったサンプルがあって、それに合うように色を調整して
塗装するのですが、ある程度仕事が進んでいるとき・・・
「きれいに仕上がりすぎて家のイメージに合わないようだ」と注文が入りました。
ナラの無垢材のフローリングですから、サンプルに合わせた着色材で下塗りをしても実際には
板は一枚一枚違った色になります。
木の丸太状態を想像してください。外側、皮に近い材木は白っぽくなるし中心に近い材木は赤みが
強く出るようになります。
塗装が進んでいくとその色の差はかなり明瞭になってきます。
私達家具の塗装をする立場からすると、一つの素材を塗装して、サンプルとあまり違う色で仕上がる
と(私たちでのレベルです。はっきりした色の違いではなく、明度や彩度のちがいなどです)施主から
クレームになることがあるので、できるだけサンプルに色調が合うように、カラーリングを
加えていくのです。
しかしかえってそのために、ナラの素材感がない、平べったい仕上がり感になってしまいます。
注文は、そんなシートを貼ったような全体が平均的に見える仕上がりを他に言いようがなくて
「綺麗過ぎて、古い家を再生する仕事のイメージに合わない」と表現したのでしょう。
仕事をしている自分でも、手を加えてサンプルに近い仕上がりにしようとすると、木の持っている
素材感や木目の柔らかさや荒々しいところなどが、カラーリング膜の下に隠れてしまうので残念に
思うのです。私個人の好みと、職人としての仕事への責任とで悩むことになります。
当然、私としては、ナラの木材として自然な、不揃いの色合いがすばらしいと思っています。 H