座卓と長いカウンター
2009-10-07
店屋さんで使う座卓が持ち込まれました。
サイズは2000×2000(センチ)くらいのほぼ真四角
普通の家で使うには、やはり大きすぎますね。
足の部分は、はめ込みです。
はめ込むときはその部分は塗装をしません。
理由は、塗装をすることによって摩擦が少なくなってはめ込んだ部分が動きやすくなるからです。
(鉄骨の組み合わされる部分も同じです。密着面は塗装をしません)
黄色の養生テープが巻かれているところが未塗装部分になります。
ウレタン塗料で塗り上がった座卓です。現場の店屋さんで組み立てられます。
完成品としての品物の、塗装する前と塗装後の写真をなかなか紹介できませんが・・・
当社に運び込まれるとき、品物はほとんど組み上げられた状態では届きません。
出来上がりの図面を見もらっていて、部品を見てこの部分だというようにパズルのようです。
塗装が仕上がった物を組み立てるわけですから一つ一つが小さく分けすぎると組み立て箇所が
多くなりそれだけキズをつけやすくなります。
かといって、出来上がった状態で運び込むと、持ってくるときも塗装後運ぶのでもたいへんです。
もちろん大きすぎて動かす時に傷つけやすいし搬入場所が狭い所、階段があるところ、動かす
人手がない所ではむりです。
どれだけ気をつけていても傷が付く場合があります。
ですから、現場で補修ということはいくらでもあります。その場所が県外でもです。
品物を送り出すとき「運搬中傷がつかないように」「現場で傷がつかないで納まりますように」と
いつもおもいます。
この長いカウンターは、やはり店屋さんのカウンターです。
2700×270(センチ)の一枚板です。ウレタン塗装。
お客様が座ってほぼ目の高さくらいになるのでしょうか。
木の皮を剥がしたあと形成しない部分を残して雰囲気を出しています。
既製品にはない雰囲気の、手作りの家具たちが塗装という化粧を施されてここから出て行きます。
いつまでも愛されて大切してもらえたらと思います。 K
エージング塗装
2009-10-05
子供の頃から絵を描くことが大好きで、色が大好きで
毎日のように、ひたすら描いていました。
しかし図工の通知表は大体の場合、アヒルの「2」でした、いつも・・・
へたな横好きだったのに、いや下手だということに気づいていなかったのか、
ただただ楽しく描いていましたね。
そんな才能もないのに「将来はデザイナーになりたい」とか
「アーティストもいいなぁ」とか思っていました。
そしていつしか家業の塗装を仕事に選んでました、それも職人として。
(周囲にはお手伝いしているようにしか見えていなかったようです)
最近やっと、何とか思った通りの塗装ができるようになったかなと思えるようになって
そんな時「エージング」に出会いました。
「エージング」で検索すると化粧のアンチアイジングに行ってしまいますが
私たち塗装をするものから言う「エージング」とはその名の通り
「ageing」(年をとる)古く見せる、偽絵のようなものです。
これは特殊塗装の部類で、似たような仕上がりでも塗装する人が違えば、材料も様々で、
表現の仕方がまるで違います。
私の「やる気」に火がついた。社長に猛アタック、懇願し
「お願いしまーーす!」「やらせてくださいーー!やりたいです!!」
最近で5種類の施工を手がけました。勉強不足もありますがとても楽しく仕事ができました。
子供の頃の思い、「色を使った仕事」をする幸せと嬉しいなの気持ちに浸っています。
願いとか思いは思い続けることで叶うのでしょうか・・・? MAYA
塗装の色とサンプル
2009-09-29
私はもともと「色」が大好きでした。
色塗りに関しては下手でした、塗装を職業にするまでは・・・
塗装の色のサンプルは塗装のやり方で違います。
塗りつぶし仕上げ・・・木地の木目が分からなくなります
染色、クリヤー仕上げ・・・木地の木目を生かした塗装です
それぞれ既存のサンプルがあります。
さらにポリ板やメラミン板といった木目が印刷された板用の「アイカ」「デコラ」「フローリング材などの建材用」のサンプル。
そして自社で色合せしたサンプルがあります。
数え上げたらキリがありません。色数が豊富で何万色にもなると思います。(数えたことはありませんが・・・)
|
|
作業としては、預かったサンプルにいかに近づけるか、お客様に違和感なく受け入れてもらえるかを常に気にしています。
塗装する対象が木のとき、同じ色を塗ってもそれぞれの表情が全て違います。
特に大切にしていることは「染色」という、木地に色を付ける作業があります。
木の細かな導管や木目に、色を一旦吸い込ませて、きれいに拭き取ると、とても繊細で美しくなります。
そこに下塗り、上塗りと塗っていくとその木の持つ独特の照りが出ます。
写真には写せない深みが、本当に美しいのです。 MAYA
手仕事と塗装
2009-09-26
「手仕事」・・・人の手が作り出した物。
その技は個性があふれています。
手仕事は機械を使わず、手と道具だけで作り上げています。
それは、とても柔らかく、温かみがあって、同じ物を作っても完全に同じ物は作れない。
そんなところが美しく「愛おしいなぁ」といつも思います。
それが子供の作品でも、熟練した職人の仕事であっても。
今日、仏壇屋さんのご主人が塗って欲しいと、とても立派な額縁を持って来られました。
欅の一枚板を背に紅葉の彫り物がされ夏目漱石の言葉なのでしょうか「則天玄私」の文字。
欅の木目を水の流れに見立て、紅葉が流れて行く様が美しいものです。
直接板を彫ったり板に埋め込む方法もありますが、今回は彫刻した物を板の上に貼ってあるので
立体感があります。木目がどのように出るか計算され、デザインも巧みです。
このような作品に私が塗装でお手伝いできることは、ほんとうに嬉しいです。
このような手仕事が木に限らず少なくなってきています。大切にしたいものです。 MAYA
↑ 塗装前の木地の状態です。額縁のサイズは1500×600
↑ 着色をしました。
↑ 額縁の淵です。黒のウレタン艶ありを塗ります。
↑ ラッカーで塗装しました。黒い淵を付けると最初の写真です。
塗替え家具について
2009-09-19
私の仕事の中に「塗替え」(リペア)があります。
工場に入ってくる塗替えは、お店なら什器、家具、マネキンなどがあります。
ホテルならカウンターや部屋の家具、建具。
建具屋さんが直して持ってくる建具。
みんな大事なものですが、特に私の気合が入る物は、
個人のお客様が持ち込んでくれた座卓やテーブル、チェア、タンスなどなんです。
これらは、新しいものに買い替えられるものですから「古くなってしまった」といわれ
捨てられることの方が多いのです。
そんな中、塗替えを選択してくださって、「うちへ依頼してくれた期待に応えたい!」という思いが強く
あるからです。
それぞれの家具を大切に使ってきた人ががいて、また塗り替えてこれからも使っていこうという
気持ちが何よりうれしいのです。
「元の色に近い感じにして欲しい」というご依頼でした。出来上がってお渡しして
「とても良かった」と満足していただけたようで私も心底うれしくなりました。
家具たちの大体は、傷ついたり塗装が剥げてボロボロになったりの状態からの直しなので
手間がかかります。でも、手をかけることによって再び美しく甦せることができるのです。
家具にとっては、今までの思い出と、これからまた、生活の一部となって、再びボロボロになるまで
使えてもらえたら、年季と共に繰り返し歴史が刻まれていくことでしょう。 MAYA